人々に愛されるロングセラー

かつて映画や小説、漫画の中でそれを見て憧れたものの、身近に食べられる環境がなかった、そもそも日本にはなかったなど、様々な理由で手が届かなかった「憧れの一皿」というのは、意外と多くの人の記憶にあるのではないでしょうか。中には食べ物自体に憧れたのではなく、憧れていた映画俳優や主人公が食べていたことから、同じものを食べてみたかったという人もいるかもしれません。映画や小説に出てくる食べ物が話題になるのは今も昔も変わりない風潮です。

現在人気スイーツとして話題のパンケーキはかつて「ハイカラ」と呼ばれる食べ物でした。「ハイカラ」とは「西洋風」「目新しく、しゃれている」という意味で使われた言葉です。日本でパンケーキが紹介されたのは明治の時代で、その頃は「温かいケーキ」ということで「ホットケーキ」として人々に紹介されたのです。提供されていた場所は百貨店のレストランなどで、当時は生活に余裕のある人しか食べられないような高級品でした。日本では長い間この名称が定番でしたが、近年になってパンケーキブームが起き、専門店が相次いでできたことで現在では「パンケーキ」の方がメジャーな名称になったのです。

「食べてみたかったけれど食べる機会がなかった」そんな憧れの一品が、年配の方にとってのパンケーキなのかもしれません。日本で広まった頃に提供されていたパンケーキは、薄く焼かれた生地の上にバターやシロップがかけられただけのシンプルなものでしたが、現在人気の専門店では多種多様のトッピングが用意されており、スイーツとしてだけでなく、食事としても楽しめるのが特徴です。そうしたスタイルは年配の方々にとっては目新しく、さらに魅力的に見えるのではないでしょうか。「あの頃は食べることが叶わなかった憧れのパンケーキを食べてみたい」、そんな思いを抱えている方はぜひ巷で人気の専門店に足を運ぶことをお勧めします。ナイフとフォークで食べる憧れの一皿は、きっと、大きな感慨をもたらしてくれるでしょう。

もちろん年配の方だけでなく、老若男女問わず高い支持を受けているのがパンケーキ専門店の特徴でもあります。男性にも人気があることを意外に思う人もいるかもしれませんが、近頃は食事系パンケーキメニューが手軽でバランスもいいと人気なのです。憧れの一皿としてだけでなく、おいしくて健康にいいメニューとしても、パンケーキは、今後も様々な年代の人々に長く愛され続けることでしょう。