憧れに辿り着くまでの経験

多くの人が小さい頃から慣れ親しんできた食べ物のひとつであるパンケーキは、近年、ずいぶんと進化を遂げてきました。市販のミックス粉を使って自宅で焼いたものはおいしいものの、あまりボリューム感が出ません。人気の専門店で提供されているパンケーキは一枚がとても分厚く、しかもふわふわに焼きあげられているため、スイーツファンの間では憧れの一皿でしょう。そんなパンケーキにたっぷりと好きなだけトッピングを載せて食べてみたいと憧れる人は多く、WEBサイトや雑誌などで見つけた「逸品」を食べるため、地域限定のパンケーキを食べるために修学旅行の自由時間を使って店に足を運ぶ学生や、それを食べるための旅行プランを組んで、各地の専門店を訪れるという人もいるそうです。人にそこまでさせるパンケーキはそれだけ魅力的だという証明でもあるのでしょう。

たしかに生クリームや季節のフルーツでデコレーションされたパンケーキのフォトジェニックな写真を見れば「おいしそう」だけでなく、「自分の目で見てみたい、食べてみたい」と思わせる力があります。ましてや、専門店では季節限定メニューや数量限定メニューなども提供されているので、どの時期にどの専門店を訪れるか、どのメニューを食べるかで悩むスイーツファンもいるのではないでしょうか。頻繁に訪れることができないような状況であればなおさら、目的の一皿を食べるための綿密な計画を立てておかねばなりません。そんな苦労をしてでも「食べたい」と思わせる魅力がパンケーキにはあり、だからこそこれだけ専門店が増えたのでしょうし、一時のブームではない盛り上がりが続いているのです。

もちろん、家庭で作るパンケーキもそれはそれで思い入れもあるでしょうし、おいしいでしょう。しかし、やはり専門店で提供されるようなたっぷりとデコレーションされたパンケーキに華やかさと憧れの点では敵いません。だからこそ現地へ足を運んで食べたいという気持ちが湧くし、多少の苦労をしたうえで味わうパンケーキは、道すがらの期待も相まって想像以上においしく感じられるのではないでしょうか。「たかだかスイーツを食べるためにそんな苦労をするなんて」と言う人もいるかもしれませんが、そこまで自分が経てきた経験も、そうして最後に巡り合えた絶品スイーツも、素敵な思い出として記憶に残るでしょう。お目当てのスイーツに辿り着くまでの道のりや苦労も楽しもうという気持ちでいれば、引け目を感じることなど何もないのです。