物語の中の食べ物

海外の映画などを見ていると、ごく自然に朝食としてパンケーキやフレンチトーストが出てくるシーンがあります。その場合、フルーツや生クリームなどを盛り付けた甘いものではなく、ソーセージやベーコン、スクランブルエッグなどが添えられていることが多いでしょう。日本の有名アニメーション映画「魔女の宅急便」でも主人公のキキが朝食に焦げたパンケーキを焼いている場面が登場します。映画を見て「キキと同じようにパンケーキを焼いてみたい」「朝ごはんにパンケーキが食べたい」と子供にねだられた経験のあるお母さんは多いのではないでしょうか。子供たちにとって絵本やアニメ、映画の影響力は大きく、主人公が食べている食べ物を食べてみたいと考えるのは自然なことです。物語に出てくる食べ物は、子供たちにとっては憧れの一皿であり、自分がその物語の世界に出てくる主人公により近づくためのアイテムでもあるとも言えるでしょう。そしてその憧れは大人になっても心の奥底にずっと残り続けるものなのです。

特に食べ物をテーマにした物語ではなくても、映画や小説、アニメーションの中には食べ物があちこちに登場し、見た人の印象に残るものです。普通に見る分には気に留められないこともありますが、ファンの中には実際のロケ地で同じ料理を食べてみたり、物語に出てくる料理のレシピを再現して作ってみたりする人も少なくないのです。様々な物語に出てくるパンケーキは、今や日本全国各地に専門店が続々オープンしていて、どの店も大きな話題になっています。素材や製法でアレンジがしやすく、有名な物語に出てくるキャラクターとのコラボカフェなどでもパンケーキが提供される機会は多いでしょう。その特別仕様のパンケーキはフォトジェニックな一品としてSNSなどでも人気が高いのです。こうしてパンケーキがイベントなどで提供される機会が多いのは、それが物語のワンシーンを思い起こさせる食べ物だからというだけでなく、物語を楽しんだ記憶を懐かしませてくれる一品として長く愛されてきたからなのでしょう。

スイーツが好きで、漫画や小説を読んだり、映画を見たりするのが好きだという人は、ぜひ物語の中に出てくる食べ物にも注意を払ってみてください。多種多様な食べ物が主人公たちの周囲を彩っていることに気づき、そこで新たな憧れの一皿に出会うこともできるでしょう。そうした観点から物語を見る、新たな楽しみ方も悪くありません。